Ethereumのレイヤー1(L1)でのスケーリング提案
Ethereum(ETH)のレイヤー1(L1)レベルでのスケーリングについての議論がますます活発になる中、Ethereumのエンジニアや研究者たちは、ブロックチェーンがトランザクションの実行とブロックの検証を並行して行えるようにするプロトコル改善提案「EIP 7928」を発表しました。この提案により、Ethereumはブロック内でアクセスされたすべてのアドレスやストレージキーの完全なリストと、それらの実行後の値をブロックチェーンに含めることができるようになります。
EIP 7928の特徴とメリット
EIP 7928の「ブロックレベルアクセスリスト」は、より高速で並列なブロック検証を可能にし、EthereumのL1の大幅なスケーリング向上が期待されています。この新しい提案は、トニ・ヴァールシュタッター、ダンクラッド・ファイスト、フランチェスコ・ダマト、ヨハン・ブルーヴァー、イグナシオ・ハゴピアン、ヨアブ・ワイス、アレックス・フォルシュタットといったEthereumのベテランたちによって作成されました。
このEIPにより、トランザクションのアクセスされたアドレスとストレージスロットをマッピングする「ブロックアクセスリスト(BAL)」が導入され、トランザクションインデックスと実行後の値を結びつける重要な要素となります。ヴァールシュタッターによれば、このEIPが承認されれば、Ethereumのバリデーターのパフォーマンスは向上するとしています。BALは、バリデーターがブロック内の各トランザクションの内容を迅速に把握できる「チートシート」として機能するため、検証作業が効率化されます。
研究者たちは、L1のスケーリングは短いスロット時間と高いガスリミットとも関連しており、このようなEIPはEthereumコミュニティでの広範な議論の一部であると指摘しています。一部のEthereum支持者がL2のみに注目している中で、反対派はL1の改善の必要性を強調しています。
今後のアップグレード
U.Todayが以前に報じたように、Ethereumは2023年5月7日に、PoWからPoSへの移行以来もっとも野心的なハードフォークである「Pectra」を無事に起動しました。このアップグレードにより、Ethereumは高度なアカウント抽象化とより柔軟かつ強力なETHステーキングデザインを導入しました。
さらに、Pectraのフォローアップとして、Ethereumは2025年末に「Fulu-Osaka(Fusaka)」アップグレードを実施する予定で、オフチェーンデータサンプリングを活用してL2コストを最適化する機能「PeerDAS」の実装や、スマートコントラクトセキュリティに関する新たな開発が含まれています。